わたしがCBDに興味を持ち、調べる中で参考になった書籍についてのレビューシリーズです。
第1回の今回は、高城剛著「大麻ビジネス最前線」について。この「大麻ビジネス最前線」はわたしがCBDが「なんだかとても面白そうだぞ!」と思うきっかけになった一冊です。
この本と、佐久間裕美子さんの「真面目にマリファナの話をしよう」で日本とは違う世界の大麻に対する認識の変化を理解することができました。
このレビューを読んで、すこしでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。
「高城剛」とは
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動している。
著書に『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)、『LIFE PACING 【未来を生きるためのモノと知恵】』(晋遊舎)、『空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか? ドローンを制する者は、世界を制す』(集英社)などがある。
2019年には自らの書籍レーベル「NEXTRAVELER BOOKS」を設立。大手出版社ではあまり扱うことができないテーマを中心に発売している。最新作は2020年2月に発売された量子ヒーリングデバイスをテーマとする「BETTER TOMOROW」。
かつては自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演する。2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍している。
2012年より有料メールマガジン「高城未来研究所」を発行。扱うテーマは多岐にわたり、これまでも大麻だけでなく、LCCによる旅行スタイルやフルサイズミラーレスカメラの優位性、セブ島を中心とする短期留学及びオンラインの英会話学習、ドローンの普及などのテーマを常に世の中よりも一歩先に取り上げている。近年は健康分野のトピックが多い。
「大麻ビジネス最前線:Green Rush in 21st century」とは
2018年4月20日発行。Amazon Services International, Inc. にて販売。Kindle版¥680(税込)。kindle unlimited会員は¥0。
2018年6月にWHO(世界保健機関)が大麻に関する記述を見直すと目されていたタイミングで出版される。
以下、内容説明。
大麻は、日本では厳しく規制されているが、世界に目を向けてみれば、実に多くの国々が大麻を「医療用大麻」として合法化・非犯罪化している。
大麻に含まれる成分が、がん、認知症、てんかんなどに効くということが、科学的なエビデンスとともに判明しつつある。そうした事実が明らかになるにつれて、投資家や事業家たちは大麻産業に大きなチャンスを見出すようになった。
アメリカ、イギリス、カナダでは医療用大麻だけでなく嗜好用大麻をも一大産業にしようと急速に準備を始めており、この動きはかつてのゴールドラッシュになぞらえて「グリーンラッシュ」と呼ばれている。
著者の高城剛はおよそ2年をかけて、世界中の先端研究者やビジネスマン、愛好家から政治家・官僚まで100人以上に話をうかがい、大麻産業を取り巻く世界の動きを一冊にまとめたのである。
各章紹介
第1章 2018大麻の今、未来
- カリフォルニア州の解禁
- いち早く合法化したコロラド州の現状
- 注目のカナダの動き
- ビジネスとしての大麻の予測
- ピーター・ティールが大麻産業へ投資
- 世界覇権を狙う中国
- WHOの見解見直し
- 合法化の影響
- コロラドにてんかん患者が集まる理由
第1章の感想
昨今のアメリカでの医療用大麻解禁から嗜好用大麻合法化に向けての動き、大麻に関する人々の価値観の変化についての章。
医療やウエルネスの側面だけでなくビジネス的な側面、例えば「大麻観光」という新たな動きや大麻に関わる新しい職種の誕生、市場規模の動向やどれだけの雇用を生み出すかなどビジネス面の変化についても詳細に記されています。
あのペイパルマフィアの一人、投資家のピーター・ティールが投資先として触手を伸ばしている、といった話題は興味深いです。
第2章 そもそも、大麻とは
- 「大麻」とは何か?
- 大麻の歴史
- 大麻の成分
- CBDの効果と効能
- 医療用大麻事情
- 産業用大麻の用途
- レクリエーション大麻への懸念
第2章の感想
日本やアメリカなどで大麻がどのように扱われてきたかといった歴史的な内容と学術的な観点からの大麻の説明の章。
この章は日本臨床カンナビノイド学会編「カンナビノイドの科学」(築地書館)を参考文献としている箇所もあるのでより詳しく知りたい方はそちらを併せて読むのもおすすめ。
第3章 世界の大麻最新事情
世界各国、多岐にわたる地域での大麻最新事情のレポートです。
1、アメリカ・カナダ
(1)オレゴン州 (2)ワシントン州 (3)フロリダ州 (4)ケンタッキー州 (5)バーモンド州 (6)ハワイ州 (7)グアム (8)カナダ
2、中南米
(1)メキシコ (2)ウルグアイ (3)チリ (4)ペルー (5)コロンビア (6)ジャマイカ (7)アルゼンチン (8)ブラジル
3、ヨーロッパ
(1)イギリス (2)オランダ (3)ドイツ (4)スイス (5)ポーランド (6)ポルトガル (7)スペイン (8)アイルランド (9)チェコ (10)キプロス (11)ギリシャ (12)フランス (13)イタリア (14)ロシア
4、アジア・中東・アフリカ諸国
(1)イスラエル (2)インド (3)中国 (4)韓国 (5)フィリピン (6)タイ (7)シンガポール (8)オーストラリア (9)アフリカ諸国
第3章の感想
大麻やCBDをテーマにした書籍の多くは、主にアメリカの動向を中心に書かれています。
ですので、本書のようにこれだけ多くの国の動向を詳細に記したものはとても希少です。日本やアメリカにとどまらず世界の大麻情勢に興味がある方は必読といっていいでしょう。
この章と次章を照らし合わせると日本の立ち位置の特異性がよく理解できます。
第4章 ビジネス勝機の可能性
- 果たして、日本で大麻は解禁されるのか
- 日本の大麻市場の動向
医療用大麻解禁における日本の法制度の現状と問題点。一方の産業用大麻、健康食品としての市場の動向と可能性について言及している章。
第4章の感想
日本における大麻のビジネス面の可能性については他の書物ではあまり記述されていないので日本でのグリーンラッシュの可能性を考える人は目を通すべき章です。
まとめ
高城剛氏の文章は簡潔なセンテンスで構成されており、非常に読みやすい文章です。
大麻やCBDに関する専門知識に関しても比較的分かりやすい言葉で説明されています。大麻やCBDを取り巻く環境やトレンドを知りたい方にはうってつけの一冊と言っていいでしょう。
- 美容や健康といった側面だけでなく、ビジネス的視点から大麻に興味のある方
- 分かりやすく大麻を取り巻く環境を知りたい方
- 日本及び世界の大麻・CBDの動向を俯瞰して知りたい方
本書「大麻ビジネス最前線:Green Rush in 21st century」は、そのような方にオススメの一冊といえます。