CBDプチ情報

エリクシノール社についてと2019年10月のエリクシノール社製品の販売停止について

以前、初めて購入した商品としてエリクシノール社のナチュラルドロップス100を紹介しました。

初めてのCBDオイル。『エリクシノール ナチュラルドロップス100』レビューエリクシノール 社のCBDオイル「ナチュラルドロップス100」。CBDオイルとはどのようなものだろう?どの程度リラックス効果や安眠効果が得られるのだろう?という興味で購入し1ヶ月間使用した。その時の使用感をレビューした。...

日本におけるCBD業界のリーディングカンパニーとも言えるエリクシノール社ですが、検索すると企業情報や商品情報とともに

「エリクシノール 販売停止」、「エリクシノール 違法」

といったおだやかではない情報もあがってきます。とはいえ、この記事を書いた2020年10月時点で問題なくふつうに販売されていますし、いま記事を更新している2022年1月現在も変わらず販売されています。なんならコスメキッチン系列の「Biople」など販路は広がっています。

販売停止?違法?これはどういうことでしょうか・・・。

ということでエリクシノール社商品、ひいてはCBD商品自体を安心して購入するためにも

  • エリクシノール社の「販売停止」や「違法」とはどういう話なのか? 
  • 「エリクシノール社とはどのような企業なのか?」 
  • 「エリクシノール社は信頼に足る企業であるのか?」

などの情報を今回は詳しく調べてみたいと思います!

エリクシノール社とは?

エリクシノール社(https://www.elixinol.com/)は、2013年アメリカコロラド州にて設立されたCBDメーカー。

自社農場と契約農家で栽培された高品質なヘンプを使用し自然の状態を生かした最高品質のヘンプオイルを生産することに力を注いでいます。

2018年にはエリクシノール・グローバル社としてオーストラリア証券取引所に上場しました。現在は、オーストラリアのエリクシノール・グローバル社で原料製造を行い、アメリカエリクシノール社で品質管理と販売を行なっています。

創業者ポール・ベンハイムはヘンプのスペシャリスト

画像参照:Elixinol Glibal Limited HPブログより

創業者ポール・ベンハイムはロンドン生まれ。90年代初頭にバックパッカーとして世界各国を旅をする中で産業用大麻の可能性に触れ、その後ロンドンにてヘンプ食品会社を設立しました。

ロンドンのヘンプ食品会社で販売したヘンプシードを使用したシリアルバー「9bar」は記録的なヒット商品となっています。その後、2000年に栽培から生産までを一貫して行うヘンプ企業の立ち上げを志し、オーストラリアへ移住。

2010年バイロンベイにてHemp Foods Australia社を設立。世界基準の有機ヘンプシードを採用し一貫して最高品質にこだわったその商品は、現在世界中で販売され、認められています。

そうして2013年、アメリカでいち早く大麻を合法化した大麻最先端都市であるコロラド州でCBD商品の開発および販売をおこなうエリクシノール社を設立しました。

90年代の「9bar」からHemp Foods社、そしてエリクシノール社と常にヘンプ・CBD業界をリードするパイオニアであり、大麻産業界最重要人物の一人であることは間違いないです。

エリクシノールジャパンについて

日本のエリクシノール株式会社(https://elixinol.co.jp/)は、2020年現在、CBDオイル商品の輸入販売では国内最大手企業です。設立は2016年。

代表取締役の松丸誠氏は、2014年に設立された株式会社ヘンプフーズジャパン(https://shop.hempfoods.jp/)の代表も務めています。

CBDにおける「日本のスタンダードを作る」というビジョンを掲げる同社が特に注目されたきっかけとして、2018年6月表参道駅に業界初となる広告ビルボードを展開したことが挙げられるのではないでしょうか。

当初はエリクシノール グローバル社の日本子会社でしたが、2019年12月よりライセンスパートナーへと契約が変更されています。

2020年11月のプレスリリースなどを拝見すると、

米国〈エリクシノール〉のノウハウを生かし、日本〈エリクシノール〉は2020年現在、国内製造をおこない、サプリメントやコスメティックスなどCBD関連商品の販売・卸をしています。米国本社と連携をとり、日本のCBD文化の発展に努めています。人々の健康のみならず、持続可能な社会、エシカルな未来への可能性を提供いたします。

となっていました。アメリカのエリクシノール製品の輸入ではなくライセンス契約のもと日本国内での製造販売へと変わったようですね。

2019年10月のエリクシノール 商品販売停止について

販売停止の経緯

2019年10月23日
親会社エリクシノールグローバル社ホームページの「Market Update Elixinol Japan Operations 」にて「エリクシノール・ジャパン株式会社(以下、エリクシノールジャパン)が、非準拠の麻由来CBD製品を販売していたことが判明した」と発表。

また、

「今回の違反は、各グローバルビジネスユニットの業務を見直した結果、社内で発覚したもの」であり、「当社は、法令遵守を真摯に受け止めており、エリクシノールジャパンのヘンプ由来CBDビジネスユニットのコンプライアンス違反の状況を調査しております。」

と発表した。

2019年10月25日
エリクシノールジャパン社が自社ホームページにてエリクシノールグローバル社の発表を受け、製品の販売を停止することを発表。この時点では詳細は不明とされる。

2019年11月
先のホームページのアナウンスでは11月中頃にはエリクシノールグローバル社より調査報告が上がるとされていたがこの時点ではまだ詳細は不明であり、ネットメディア等で10月25日からの販売停止のニュースが取り上げられる。

2019年12月2日
エリクシノールジャパン社ホームページにて、エリクシノールグローバル社から子会社化の解消およびライセンス契約の締結、今回のアナウンスをもって調査が完了になる旨が通達されたとの報告及び再開に向けて行政を含む関係各所と確認を行うことが発表される。*参考資料:「12月2日に発表されたアナンウスに関してのご案内」pdf

2020年2月20日
厚生労働省ホームページにてエリクシノール社の18商品中3品より微量の大麻成分THC(テトラヒドロカンナビノール)が検出されたとの発表(ナチュラルドロップス3000、シナミントドロップス3000、プロフェッショナル2000の3品)。

同日、エリクシノールジャパン社ホームページにて、18商品のうち15商品の販売再開が発表される。商品に関して行政による輸入及び各種書類等の確認、行政の任意検査を受けた上での販売再開であった。

販売停止の背景

元来、エリクシノール社は徹底した品質検査を行い、各国の規格に適合すべく厳格な品質検査を行うなど、各工程で最高水準を目指した体制を整えているとのことです。

つまり、アメリカ基準の商品をそのまま他国で販売することなく、各国の法的基準に合わせてローカライズして販売おり、同社はその点について他社との差別化を図る重要な要素の一つと考えていました。

今回の販売停止に至る経緯においても、自社内の調査において「日本では麻の茎と種子からのみCBDを調達すること」という規制に抵触している可能性があるとして自ら販売を停止したのです。

決して日本政府により違法薬物として摘発されたといったものではなく、あくまでも自社の厳しい品質管理の過程において判明したものです。

エリクシノール ジャパン社の対応

日本子会社であるエリクシノールジャパン社も日本市場で展開していくうえで、「日本の法律に準じるように、内容もつくり変え、徹底的に検査を行っていること」「厚生労働省の認可登録を受け、正規ルートで輸入していること」を強く打ち出していました。

これは世界的に大麻合法化に進む中、依然厳しい法規制が敷かれ、なおかつ大麻に対しての印象が良くない日本においてCBD商品を販売していく上で非常に重要なポイントだったことは間違い無いです。

またエリクシノールジャパン社においては、商品の輸入の際、アメリカエリクシノール社より輸入ごとに発行される提出書類とアメリカ第三者機関によるカンナビノイド分析結果書を確認した上で輸入を行うという業務体系があります。

エリクシノールジャパン社としては、本事案に関しては「ありえない、あってはならない状況」だと認識していたことでしょう。

よって当初、エリクシノールジャパン社は、

「エリクシノールグローバルの発表内容に納得のいかない様子を見せ、(中略)コンプライアンス違反を否定する考えを示唆しつつ、販売を一時停止する以外は静観の構え。仮に、エリクシノールグローバルの指摘が事実だとすれば、それは米国法人から提出された書類や分析結果の問題だと言わんばかりだ「健康産業流通新聞」より)

という印象をメディアに与えていたようです。

その後、2019年12月2日の発表にて、子会社契約が解消され、調査に関してはさしたる進展が示されないまま調査完了のアナウンスがなされました。

エリクシノールジャパン社においては、本アナウンスを受け行政を含む関係各所との確認を進め、最終的に2020年2月20日の厚生労働省の発表およびジャパン社ホームページでの販売再開のアナウンスがされたという流れから推察するに、日本において独自に調査を進めていたものと考えられます。

一連の流れから、本事案の過程でエリクシノールグローバル社とジャパン社との間で信頼関係が揺らぎ、パートナーシップに乱れが生じたことがうかがえます。

ただし、2022年1月現在もエリクシノール製品は日本のエリクシノール株式会社の元、着々とラインナップ&販路を増やし、成長しています。上記のようなトラブルがあったとはいえ、ライセンスパートナー企業として良好な関係を築いているのではないでしょうか。

まとめ

今回、結果的には一部商品に大麻取締法上の規制成分であるTHCが検出されました。

しかし、警察や税関、厚生労働省など行政機関により摘発されたのではなく、あくまでも自社内部の調査によりTHC成分混入の疑いが発覚し、政府と協力して確認を進めたもののようです。

また結果として日本の法律において規制対象となるTHC成分が検出されたのは18商品中3品でした。今回のこの事案は、

違法性を認識した上で販売されたものではなく、発生から収束に至るまでの経緯を見てもエリクシノールジャパン社は誠実に社会的責任を果たそうとしていたと考えられます。

本事案を経て2020年2月20日以降、今後はエリクシノール社製品はより厳格な品質管理のもと日本の法規制に適合した商品を販売しています。

2021年3月に発売されたCBDカプセルでは、CBDとしては初の「医協マーク」を取得しています。(参考:PRTIMES記事

一方、世界最大手のCBD企業であるエリクシノール社がライセンス契約で日本市場に関わり、直接展開ではなくなったという点で、日本のCBD市場の進展が鈍くなるのかなあと、個人的には懸念を抱いています。

CBD業界のリーダーであるエリクシノール社には、かつての表参道駅のビルボードのように日本においてCBDをメジャーにしていくような活動、活躍を今後も期待しています。