こんにちは、スマライです。
わたしがCBDに興味を持ち、調べる中で参考になった書籍についてのレビューシリーズ。
高城剛さんの「大麻ビジネス最前線:Green Rush in 21st century」に続いて、今回は佐久間裕美子著「真面目にマリファナの話をしよう」をご紹介いたします。
数年前より、高城剛氏のメルマガを通してCBDや海外のマリファナ解禁事情について多少は知っていました。
しかし、、、
わたしが今のようにCBDオイルについて興味を持ち「使ってみよう!」という気持ちになったのは、佐久間裕美子さんのこの本の出版に際して行われたトークイベントに参加して”マリファナ=違法薬物”という先入観を外したリアルな世界の潮流を感じたからでした。
この本は、これまでも何度か手に取って章ごとに読み返して理解を深めています。
大麻を取り巻くアメリカの現状が空気感をともなって感じることができる良本です。
というわけで今回は、佐久間裕美子著「真面目にマリファナの話をしよう」の読後レビューです!
著者「佐久間裕美子」とは
まずは著者である佐久間裕美子さんの概略をご紹介。
分筆家。1996年に渡米し、1998年からニューヨーク在住。出版社、通信社などを経て2003年に独立。カルチャー、ファッション、政治、社会問題など幅広いジャンルで、インタビュー記事、ルポ、紀行文などを執筆する。
著書に
- 「My Little New York Times」(NUMA BOOKS)
- 「ピンヒールははかない」(幻冬舎)
- 「ヒップな生活革命」(朝日出版社)
翻訳書に
- 「世界を動かすプレゼン力」(NHK出版)
- 「テロリストの息子」(朝日出版社)
などなど。
慶應義塾大学卒業、イェール大学修士課程を修了されています。 *「真面目にマリファナの話をしよう」著者紹介より
わたしは上記著書の中でもブルックリンで芽生えつつある独自のカルチャーを記した「ヒップな生活革命」から佐久間さんのファンになりました。
先のトークイベントの打ち上げなど何度かお話する機会があったのですが、いつもニコニコと笑顔が素敵でとてもオープンマインドな方でした。
「真面目にマリファナの話をしよう」とは
今回ご紹介する著書「真面目にマリファナの話をしよう」は2019年8月に発行された、佐久間裕美子氏によるマリファナ合法化が進むアメリカを取材したノンフィクションです。
2014年コロラド州のマリファナ解禁法施行を契機に、4年の歳月をかけアメリカ全土各州のマリファナ容認へのシフトチェンジやマリファナバブルの様子をリアルタイムに臨場感をもって綴られている。また2014年〜2018年当時のアメリカの様相だけでなく、大麻の植物学的な歴史やアメリカでの規制と合法化運動の歴史、それらの背景などが詳細に語られている。
メインとなるトピックは2014年以後のアメリカ各州でのマリファナムーブメントのルポタージュです。
そして、その背景をもっと理解するために過去に遡り、なぜ大麻が違法薬物として取り締まられるようになったのか?や、ヒッピームーブメント時代のマリファナカルチャーなどが紹介されています。
この本を通してアメリカにおいて、文化的、経済的、政治的な背景や流れの中でマリファナがどう扱われてきたのかを理解することができます。
各章紹介とひとことコメント
第1章 マリファナ・ロードトリップ
2015年、嗜好用大麻を合法化したコロラド州のディスペンサリー(処方箋と引き換えにマリファナを手にすることができる場所)での取材を皮切りに、ワシントンDC、シアトル、オークランド、ニューヨーク、ポートランド、カリフォルニアの各地を4年間かけて訪れ、どのようにマリファナ合法化の波が押し寄せているのかを紹介している。
第1章の読後コメント
上記の各地におけるマリファナ・ビジネスのカンファレンスやディスペンサリーの状況、キーパーソンへの取材を中心とした章。
かつてはカルチャーと強く結びついていたマリファナが、現代においては有望なビジネスとして捉えられている様子が興味深いです。
特に、カジュアルな服装のIT系投資家とスーツ姿の金融系投資会社という対照的な二者が、それぞれマリファナビジネスの未来に可能性を感じ業界に深く関わっていこうとう状況に新たなビジネスのうねりやマリファナバブルと言われる所以(ゆえん)を感じることができます。
個人的に興味深かったのは、ポートランドのディスペンサリー「serra」を紹介した項。「serra」のデザインとブランディングは初期エースホテルのデザインを担当した元チームの会社が手がけているらしいです。
第2章 なぜアメリカはマリファナを解禁するのか
現在では多くの患者を救う可能性を持つと信じられるようになったマリファナが、そもそもなぜ「危険」「中毒性が高い」などと思われるようになったのか?そして、どういう経緯で、依然連邦政府が違法とする中で州政府や市民が合法化する道を選んだのか?前章の取材を重ねる中で、このような疑問が筆者の中で生まれた。その答えを導き出すべくアメリカとマリファナの複雑な関係を紐解く章。
第2章の読後コメント
わずか1章の中で、大麻の起源から20年代60年代70年代80年代と時間軸が長く、登場人物も多い。その各登場人物のキャラクターも濃いため、結果的に情報量が膨大になり読み込むのにはかなり手強い章です。
しかし、植物としての大麻の歴史からスタートして、アメリカで大麻が規制されることになった底流にはメキシコ移民問題や禁酒法撤廃、産業用大麻を目障りとするパルプ・繊維業界等々複雑な力関係が存在していたこと。
そして、60年代70年代の規制と合法化の戦い、現在の合法化に結びつくカリフォルニアで起きたエイズに対するマリファナの医療利用の流れなど、この章を読むとアメリカにおけるマリファナの歴史が細部にわたって理解できます。
ただ個人的には、もう2、3章に分けて情報整理をして欲しかった、、、という気持ちです。。。
第3章 もしも自分が患者だったら
マリファナ、カンナビスの医療効果にフォーカスした章。医療大麻の医学研究の歴史や発見、医療大麻を許可する国際的な流れ、その流れに取り残されているような日本の現状に話は及ぶ。後半では、単にカンナビノイドを摂取すれば良いわけではなく、より自分の症状にあった使用方法を把握することの大切さやCBDブームに湧くアメリカの現状が綴られている。
第3章の読後コメント
マリファナ、カンナビスの医療面での歴史や医療効果について包括的に知ることができる章。
CBDやTHCなどのカンナビノイドは単体よりも複合的に摂取する方がより効果的であるという「アントラージュ効果」という言葉はこの本で初めて知りました。*アントラージュ効果についてはCBD製品を使用する上でも重要なポイントです。
途中、国際的な医療大麻許可の流れに対比するかたちで日本についての項が差し込まれています。太古のアサやGHQの規制など日本における歴史についても説明されています。
しかし記述が丁寧過ぎて、逆に「もしも自分が患者だったら」という章題から話題がそれてしまい、この章においても結果、まとまりを欠く印象を抱いてしまいました。
まとめ(こんな人におすすめ)
正直言って、この「真面目にマリファナの話をしよう」は読むのに少々手強い本でした・・・。
一つ一つのトピックの密度が濃く、項目から項目で急に話題が変わることもあり「いま何のテーマだったかな」と考えることがしばしばあったり。
しかし佐久間裕美子氏が、自分が暮らすアメリカという国で
「いま、何かとんでもないパラダイムシフトが起きているのかもしれない」
と昂り、急成長を遂げるマリファナ業界を追いかけ取材を続ける。そして、、
調べるにつれマリファナというものが単なる植物ではなく、大国アメリカが抱えるたくさんの矛盾や対立争点を象徴する得体の知れない物体に見えてくる・・・。
筆者の戸惑い、揺らぎを我々は追体験しつつ、
現代のアメリカマリファナビジネスの動きや医療大麻の基礎知識などを吸収することができる本
であることは間違いないです。
ちなみ、取材を終えた筆者の気づきや想いをまとめた「おわりに」をまず読んだほうが本書は理解が進むかも知れません。
- いまのアメリカのマリファナビジネスを捉えたい方
- アメリカのマリファナ史を知りたい方
- アメリカにおける医療大麻の基本を押さえたい方
そのような方に本書をおすすめします。
こういった本を読み終わって、いつものCBDオイルやCBDリキッドを使用すると「遠くアメリカの地で起こったムーブメントによって今わたしたちの手元までこのCBDが届いているんだなあ・・・。」と感慨もひとしおです。そんな気持ちになるのも読後の楽しみ方の一つ。
ではでは。皆さま良いCBDライフをー!